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2007.06.30 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.22
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押してくだちい
ふぅ~~~~~
本日三回目の更新は!!MH小説です!!!

皆さん、続きよりお楽しみください^^
いや~~
長くなってしまいましたw

今回でchapter3は終了です~~




Chapter3-6『レイの思い出⑥・桜吹雪』


「カミオ、そっちの翼頼んだよっ!」レイが走りながら矢をつがえ、叫ぶ。
 
「・・・はい・・・!」カミオも、肩に担いだ狩猟笛を振り回す。
 
「尻尾はウチがいくから!」そしてドロシーも、木々の間をくぐり抜ける。
 

「本当に凄いのぅ・・・」第三王女には、“凄い”という言葉しか出ないようだった。
 
それほど、レイたちの戦術は圧倒的なものであり、感服させられる。

 
「あ・・・っ」第三王女が思わず呟いた。
 
レイが放った矢は、1本ではなく、同時に4本の矢に別れ、拡散した。
 
その4本ともが的確に、桜火竜の首から背の辺りに命中する。
 
矢は軽く甲殻に突き刺さっただけだった。しかし、矢尻から、激しく火花が散る。
 

ギャアアアァアァァア・・・!!!
 

桜火竜の苦痛の悲鳴が、密林の木々を揺らす。
 
特殊な矢尻に仕込まれた麻痺性の毒に侵され、麻痺状態に陥ったのだ。
 
麻痺の時間はさほど長くないが、それはハンターにとってはとても重要な時間となる。
 

このときを待っていた、とでも言うように、4人の攻撃が始まる。
 

レイの目はいつもに増し鋭く、真っ直ぐと矢をつがえた。
 
1本の矢が再び放たれ、今度はいとも簡単に、桜火竜の鱗を貫いた。

 
同時に、右の翼には、カミオが攻撃を仕掛けていた。
 
狩猟笛を振り回しながら、近寄ってゆくカミオ。
 
ヒュンヒュンという風を切る、鋭い羽音が鳴り響く。
 
カミオは狩猟笛を振り回したまま、つかで殴り、叩きつけ、さらに振り回す。
 

離れてはいるが、エルザも果敢に攻撃する。
 
貫通弾と呼ばれる弾丸が、速射機能で、連続して何発も打ち込まれる。
 
弾丸は甲殻を砕き、肉を裂いた。鮮血が激しく飛ぶ。

 
ギャアアァオオゥ・・・!!グワァアアァゥ・・・!!!

 
4人にいたるところを攻撃され、悲痛に耐えられず、桜火竜は悲鳴を上げる。
 

「・・・はぁっ!!!」ドロシーが力を込め、その巨大な槌を、桜火竜の尻尾めがけ叩きつける。
 
尻尾に生えた棘や鱗が砕け散った。
 
ドロシーはそのまま、ハンマーを逆手に持ち替え、今度は真上に振り上げた。

 
バキ・・・ッ!!
 

鈍い音が鳴る。桜火竜の尻尾の骨が砕けたのだ。
 
すかざず、ドロシーはポーチからある道具を取り出した。
 
それは、『ブーメラン』と俗称される、飛び道具の一種だった。
 
鋭利な刃が、一般的なブーメランの外側に施されており、投げることで、当たったものの肉を裂く。
 
桜火竜が麻痺から回復した直後だった。ドロシーは、桜火竜の尻尾に向けて、ブーメランを投げた。
 
素早く回転するブーメランは、桜火竜の尻尾を裂き、切り落とし、ドロシーの手元に戻ってくる。
 

ギャアアァアアアアァァァアァ!!!!
 

いままででももっとも大きな悲鳴だった。
 
尻尾を落とされた桜火竜は、痛みからバランスを崩し、前に倒れこむ。
 
しかし4人は、そんなことも構わず攻撃し続ける。さらに鮮血が舞う。

 
立ち上がった桜火竜は、4人の誰かに攻撃する気力も体力も尽きたようだった。
 
激しく攻撃されながらも、足を引きずりながら、どこかへ向かおうとする。
 
レイが走って、追い討ちをかけようとしたときだった。
 
桜火竜は、飛び立ち、どこか遠くへ飛んでいってしまった。

 
「あちゃ~」激しい風に目を塞ぎながら、レイが呟いた。
 
「逃げた・・・逃げられ・・・ましたね・・・」カミオが、狩猟笛を担ぎながら空を見た。
 
「そんなのん気な事言ってないで追いかけるわよ!!」ドロシーが、カミオとレイの背中を叩く。

 

レイ、エルザ、ドロシー、カミオ、第三王女フィリアスに、その執事アレン。
 
6人は、密林の中を歩いた。
 
いつもなら飛竜が行かないような場所に、桜火竜の体についたペイントボールの臭いが感じられたのだ。
 
「ここらのはずなんだけど」ドロシーが葉っぱをかき分け、鼻をすんすんと鳴らす。
 
突然、第三王女が叫んだ。
 
「ここではないのか?!大きなほら穴があるが・・・」第三王女の指差した方向には、確かに洞窟がある。
 
こんな洞窟は、ギルドでも耳にしたことは無い。
 
第一、現在6人のいる場所は、密林のフィールドに指定されている場所からはかなり離れた所だった。
 
「入ってみるか。」エルザが先頭に、洞窟に入り込む。

 
中に入って、6人は言葉を失った。
 
そこには、何千枚、何万枚だろうか。数え切れないほどの桜色、碧色の鱗の山。
 
そして、その真ん中には、先ほどの桜火竜が息絶えて静かに眠っていた。
 
洞窟の上には、大きな穴が開いており、そこから光が差し込んでいる。

 
「綺麗・・・」レイは、どこか神々しささえ覚えるこの光景に、見とれたまま呟いた。
 
このような光景が他にあるのだろうか。
 
すべての歴史を物語り、散り行くという意味を教えてくれそうな、この風景。
 
桜色の鱗には、大きいものも小さいものもあり、まさに桜の花びらが散りばめられたようだった。
 

結局4人は、剥ぎ取りはしなかった。
 
20分ほどあるき、ようやくベースキャンプに到着した。

 
第三王女は、レイとなにやら喋っている。
 
「あのような場所があるとはのぅ。」第三王女にとっては、今では絵空事のように思えてきた。
 
「あれは、私たちだけの秘密ですよ。王女様。」レイが人差し指を立てて言った。
 
「うむ。わらわとそなたらだけの秘密じゃの。」第三王女は笑顔を作った。
 
「―――ところで、そなたらはボルカ村のハンターと聞いておるが、チームの名はなんと言う?」
 
「はい、皆他のチームに属してまして、たまに女ハンターで集まって狩りをするのですが、
 
 私たちは、『ブルー・ティターニア』と呼んでいます。」
 
レイの言葉に、第三王女は驚きを隠せない様子だった。
 
「ブルー・ティターニア・・・聞いたことがあるのう。たしか、東方一の女 
チームだと聞いておる。」
 
「そっ・・そんなこと無いですよ!!たしかにエルザは東方でもかなりのハンターですけど・・・」
 
レイは驚いたが、第三王女に覚えてもらえたことが嬉しかった。

 
ドロシーは、カミオと真剣な顔つきで何かをしている。
 
小さなナイフで、小さな桜色の鱗を掘って、何か造形しているのだ。
 
「できたわ・・・!」ドロシーは、ポーチから細い紐を取り出した。
 
それを先ほどの桜色の鱗に開けた穴に通す。
 
それは、羽の生えた小さな妖精をかたどった、美しいネックレスだった。


 
レイたちと、第三王女の別れのときが来た。
 
「では、王女様、お気をつけて。」馬車に乗った第三王女を、4人が見送る。
 
「うむ。今日は本当に楽しかったぞ。」
 
「王女、これ、今日の思い出に・・・どうぞ。」ドロシーが王女に手渡したのは、先ほどのネックレスだった。
 
「ん・・・これは・・・!そなたが作ってくれたのか?!」第三王女は嬉しそうに首に通す。
 
「はい。お気に召せばいいのですが・・・」
 
「もちろんじゃ。わらわはうれしいぞ!」ドロシーと第三王女の顔に、笑みが増す。
 
「では、王女、そろそろ出発しますゆえ・・・」アレンが横から静かに言う。
 
「それではの。本当に楽しかったぞ!」第三王女は手を振りながら小さくなっていった。
 

「はぁ~~今日は疲れたねぇ~」レイが座り込んでため息を吐く。
 
「でも・・・・第三王女って最初は想像通りでしたけど・・・意外に嫌じゃなかったですよね・・・!」
 
カミオが、まだ第三王女の馬車のの方を見ながら言う。
 
「どこか寂しそうなお方だった・・・王女も日常にお疲れだったのだろう」
エルザも珍しく、見えなくなる馬車をずっと見ている。
 
「さて、ウチらも帰りますか。」船に乗り込みながら、ドロシーが呟いた。
 


2日後、暇を持て余していたレイに、手紙が届いたとギルドから呼び出しがあった。
 

「レイ・クロウレン、他、狩猟チーム、ブルー・ティターニア
 

 先日の狩猟見学は楽しませていただいた。
 
 王女も稀な体験ができたとお喜びだ。
 
 ブルー・ティターニアの一行にはこの礼状に添えて、
 
 王女直々の報酬を授けよう。
 
 これからの更なる活躍を期待する。

 
 アレン・スウェア」

 
レイたちはギルドの報酬を受け取る場所に行き、驚いた。
 
そこには、大量の上質な雌火竜の素材が、碧や桜に輝いていた。


Chapter4-1『謹慎解除!』に続く

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