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2007.06.25 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.21
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押してくだちい
久々に、告知どおり小説更新^^
皆さん、長らくお待たせしました~~

急いだのでかなり適当になってしまったところもありますが、
是非読んでくださいっ

そろそろ全作品に細かい修正加えないと。。

んでは続きよりどうぞ^^




Chapter3-5『レイの思い出⑤・FAIRY's dance』


「わぁ・・・っ!!」
 
エルザが、少し坂になっている洞窟の出口から外に出ようとしたときだった。
 
外からレイ、エルザ、カミオの3人が転がり込んできた。
 
「だ・・・大丈夫かそなたら・・・?」
 
エルザの目の前で泥だらけの3人に、第三王女が聞いた。
 
「だ、大丈夫です・・・」
 
勢いあまって転んだレイが、苦笑いを作りながら答えた。
 
「いたたた・・・」最後にレイが立ち上がった。
 
「それで、桜火竜は発見できたのか?何かから逃げてきたようだが・・・」エルザが聞く。
 
「うん・・・桜火竜見つけて、んで、こっちも見つかっちゃって・・・」レイが答える。
 
「ウチら何とか逃げてきたけど、まだ多分この外にいると思う。」ドロシーが後ろを指差した。
 
「そうか・・・」エルザはそう答えるなり、後ろにいる第三王女を見た。
 
「わらわは今すぐ討伐に向かっても構わないのだぞ?」第三王女も、洞窟の出口のほうを指差した。
 
「それじゃ・・・行くか。私は引き続き王女の護衛にまわりながら狩る。お前たちもいつもどおりの戦法で――」
 
エルザの『狩る』とうい言葉が、第三王女には妙に重く感じられた。
 
軽々しく『狩る』という言葉を使うハンターはよくいる。
 
しかし、エルザのハンターとしての技術を見た以上、エルザの『狩る』という言葉には、命のやり取りが感じられたのだ。
 
「――私抜きでのクエストと思ってかかってくれ。」
 
「うん・・・!」レイ、ドロシー、カミオの3人は、同時に頷いた。

 
洞窟の出口を出ようとしたとき、エルザが切り出した。
 
「この中で1番足の速いドロシーが先頭を切ってくれないか?できるか?」
 
「・・・うん。わかった。ウチが先にいく。」ドロシーはエルザの目を見て答えた。
 
「待ってくださぃ・・・笛の効果で・・・」カミオが突然言った、と思うと、おもむろに背中の狩猟笛を持ち上げた。
 
カミオが口を沿え息を吹き込むと、虫の羽が細かく振動する。
 
プロの奏者と間違えるほどの、透き通った美しい音色。
 
音色を聞くだけで、力がわいてくる。
 
皆に力を与える音色はカミオの優しさそのものであり、チームの音でもあった。
 
演奏が終わった。カミオは閉じていた目を開いた。蒼い瞳が輝く。
 
第三王女やアレンは勿論、よく聴くはずのレイたちまで、聴き入ってしまうほどだった。
 
「よし・・・では、頼んだぞ。」そうエルザが言うと同時に、ドロシーは洞窟を出た。
 

ドロシーが洞窟を出た瞬間、右手から桜火竜の鳴き声が聴こえた。
 
ドロシーが振り向いたときには、桜火竜はもうドロシーに向かって突進してきていた。
 
(ここでもしウチが怪我したりして、作戦が失敗したら・・・王女の身に危険があったら・・・)
 
ドロシーは不安になった。チームの中でも足が速いといっても、スタミナにはあまり自信が無かった。
 
それなのに、自分がエルザに信頼され、自分には大きな責任がある。
 
不安と責任が、自分の両足にのしかかるようで、足がすくんだ。
 
(王女の前で怪我なんかしたら・・・エルザたちが、チームの皆が、ボルカ村のハンターが、恥をかく・・・ウチのせいで・・・)
 
歯を強く食いしばって、ドロシーは走りだした。
 
カミオの笛の効果だろうか。体が軽くなったようだ。

 
エルザたちには目もくれず、執拗にドロシーを追う、桜火竜。
 
「ほぉ・・・本当に足が速いのぅ、ドロシーとやらは。」第三王女が、洞窟から顔を出した。
 
「えぇ。彼女は・・・うちのチームの皆は、私が最も信用できる人間ですから。」
 
第三王女の隣から、エルザが外に出た。続いて、レイ、カミオ、そしてアレンも出る。
 
「次はドロシーが危険だ。私は距離を保ちつつ行くが、レイたちはドロシーを援護してくれ。」
 
「わかりました・・・!」レイは無言のまま、カミオは返事を1つし、2人は走っていった。
 

今、4人が桜火竜を狩ろうとしているフィールドは、密林の名に相応しく、
 
ヤシの様な亜熱帯性の植物や、背の低い草木が密生していた。
 
レイとカミオは、草木に隠れながら二手に別れ、ドロシーを追う桜火竜の背後に忍び寄った。
 
レイは、弓を構える。引き絞りながら力を溜め、矢を放った。
 
放たれた矢は、再び弧を描いた。しかし、今度は先程とは勢いがまるで違う。
 
その矢は、的確に、桜火竜の甲殻の隙間を貫いた。
 
そして、命中した瞬間に、火花が激しく散る。麻痺瓶を取り付けているらしい。
 
瞬く間に、2本目、3本目と、次々と矢が撃ち出される。
 
ようやくレイの存在に気がついた桜火竜だったが、その方向を振り向いたときには、レイの姿はなかった。
 

そこへ、さらに背後からカミオが奇襲をかける。
 
いつもの全身から出る、自信のないオーラとはうってかわって、力強さを感じる。
 
笛の効果のおかげかもしれない。しかし、それは彼女自身の力なのだ。
 
肩に、輝く虫の羽でできた巨大な笛を担ぎ、姿勢を低くしながら桜火竜に近寄る。
 
「・・・・・・っ!!!」カミオはその巨大な塊を、桜火竜の翼爪めがけ叩きつけた。
 
無残にも、桜の花びらが散るように、一撃で翼爪は粉々に砕け散った。

 
ギャアアァァアアアァア!!!

 
悲鳴を上げながら、桜火竜はカミオのほうへ素早く振り向いた。
 
カミオの目の前で、桜火竜の喉の奥が紅く輝く。
 
大きく大気を吸い込んで、その口から、焔の玉が吐き出される。
 
カミオは一瞬怯んだかのように見えたが、それを真横に転がることで、難なく回避した。
 
そのまま、カミオは素早く立ち上がり、原生林の中に身を隠した。

 
その後を追うように、突進を開始した桜火竜の背に、
 
エルザのボウガンから発射された弾丸、そして、レイの放った矢が命中し、甲殻や鱗が破壊される。
 

エルザのとなりで見ていた第三王女は、その光景を見て思わず言った。
 
「妖精の舞か・・・わらわは妖精の舞を見ておるのか・・・」
 
一つ言葉を濁し、王女はまた続けた。
 
「竜が・・・翻弄されておる・・・ハンターとは・・・これほどのものなのか・・・?」



Chapter3-6『レイの思い出⑥・桜吹雪』に続く
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