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2007.05.03 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.15
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押してくだちい
連休後半に突入しましたね^^
正直、Elfmanに連休中の予定はありませんww

まぁ映画でも見に行くかもねb

小説は連休中は結構書けるかもです♪

今日も早速更新いたしましたょ。

続きから本編へ。




Chapter2-7『鋼の腕』


 
馬車の車輪が小石を踏んでゴロゴロ鳴る。その音と風の音以外には、ジンたちの周りには無かった。
 
ジンは馬車のひらけた後ろ側から顔を出した。
 
沼地の湿気た空気は大分薄くなり、疲れからか息を吸う毎にすがすがしさを感じた。
 
ソゥは自分の頬にべったりとついた血を触ったり、肩の辺りの臭いを嗅ぐ度に、顔を歪ませている。
 
ジンは思った。このままだと気分が悪くなる上、確実のこの馬車を汚してしまうだろう、と。
 
「おい、タマキ。ここから一番近い沢か滝に寄ってくれないか?お前が言ったとおり顔が洗いたい。」
 
ジンは今度は前に乗り出しながら言った。
 
「わかったニャ。んっと・・・一番近いところは・・・アウグストルの滝ニャ。」
 
ちょうど分かれ道に差し掛かった馬車は、ボルカ村への帰路とは違うほうへ曲がった。
 

10分も経たないうちに、勾配の激しい地形が見えてきた。
 
急な丘を越えたところで、大きく開けた草原に出た。草の青々とした香りが鼻に通った。
 
その丘の裏手、目立たないところに『アウグストルの滝』はあった。
 
馬車は滝の近くの川原に止まり、ジンたち3人とタマキは滝へ向かった。
 
小さい滝で水流も緩やかだったが、その水は澄んでいて滝つぼのそこが良く見える。
 
「ひゃっほ――――――ぅっ!!!」ソゥが鎧を脱ぎ、インナー1枚で滝つぼに飛び込んだ。
 
ジンも鎧を脱ぎ、脇に抱えてソゥの後に続いて入った。
 
血や糞、汗でひどく汚れていたが、その汚れでも澄んだ水は濁らない。
 
レンスボロック山周辺の水が清いのは、きっと火山灰が水をろ過する働きを持つためだろう。
 

ゴーストはタマキと一緒に滝から少し下ったところに行ってしまった。
 
「ふぁ~~~~・・・気持ちいいっすね!ジンさん。」ソゥが生き返ったような口調で言った。
 
「あぁ、今日は心が疲れた気がするな。」ジンも滝の冷たい水に、さっぱりと汚れを落とした。
 
「にしても、カザマがやられた飛竜がまさかあの赤いフルフルとは思ってもいませんでしたよ・・・」
 
ソゥは肩を濡れた布で洗いながら、ジンのほうを向いた。
 
「あぁ、俺も驚いた。あの赤いフルフルはボルカ村でも結構な噂になっていたからな。」
 
ソゥが訓練所に言っている間に生まれた噂だから、知らないのも当たり前だ。
 
「そうなんすか?・・・・うわ~・・・それじゃその強敵を俺らが倒しちゃったってことすか?」
 
ソゥはジンの顔を覗き込んみながら、少し嬉しそうな表情になった。
 
「そうなるな・・・といってもほとんどゴーストの手柄だが。どうだ、初めての敵に手ごたえ感じたか?」
 
ジンはソゥをからかいながら、ソゥの感想を確かめた。
 
「はは・・・・・そーいや、今日のゴーストさん見ました?フルフルの首鞭を片腕で止めましたよね?!」
 
突然ソゥが話題を変えたこと・・・より、ジンはソゥが言ったことを思い出した。
 
「それだ。俺もあれはカザマのこと以上に驚いた。」ジンの顔つきが急に真面目になった。
 
「そうっすよね・・・!あれは人間業じゃないでしょ?普通、腕折れますよ!!」
 
鎧の汚れを落としながら話す2人は、川原のほうから近寄る足音に気が付いた。
 
「噂をすれば・・・聞いてみるのもよさそうだな・・・」ジンはゴースト見て言った。

 
ゴーストの鎧も、汚れが綺麗に落とされていた。勿論その髑髏の面も綺麗になっていた。
 
タマキと共にジンとソゥのほうへ近寄ってくるゴーストに、ジンが口を開いた。
 
「ゴースト・・・今日のことなんだが・・・お前、フルフルの首の突進を片腕でとめたよな・・・?」
 
ゴーストは相変わらず無反応だが、ジンは構わず続けた。
 
「腕は、大丈夫なのか・・・?普通なら折れているはずだが・・・大丈夫か?」
 
ジンの言葉が聞こえたのだろう。ゴーストは破れたケープを地面に置いた。
 

ゴーストの左腕が再び明らかになる。
 
デスギア装備に不似合いな、鈍く光る金属で作られた左腕の防具。
 
おもむろに、ゴーストは左肩の動物の頭蓋骨で作られた防具をはずした。
 
ゴーストの二の腕から肩にかけてが露わになった。
 
両肩ともしまった筋肉、そして無数の切創による傷跡。ジンとソゥは言葉にならなかった。
 
ゴーストは無言のまま、右腕の防具を取り外した。続いて左腕の防具も取り外した、ように思えた。
 
「っ・・・・」ジンもソゥも、その光景に驚きを隠せなかった。
 
実は、ゴーストの左腕の、二の腕の真ん中くらいから下は金属製の義手だったのだ。
 
義手の手首の辺りの布のような物をゴーストが引っ張ると、その手が拳を力強く握り締めた。
 
単純な構造だが、恐らくかなりの握力なのだろう。
 
そして、フルフルの突進をも受け止めるその頑丈さや力強さも説明がつく。
 

それを見せるなり、ゴーストはすぐに防具を着けだしてしまった。
 
ジンとソゥは自分たちの疑問がこういう形で解決されるとは思ってもみなかった。
 
ジンは防具を着けているゴーストの右肩辺りを見て、何かマークのようなものが有るのに気が付いた。
 
「お、おぃ・・・ゴースト・・・・・その右肩の・・・」
 
ジンが言っている最中に、ゴーストは馬車へと戻ってしまった。
 
「お前らも早くしろニャ!!早くしないと置いてくニャ!」タマキがびしょ濡れの2人を急かした。
 
ジンとソゥは、急いで体を拭き、再び防具を抱えて急いで馬車に乗り込んだ。
 

ボルカ村に着いたのは、昼の3時がまわった頃だった。
 
馬車の中で携帯用のこんがり肉を食べたが、ジンとソゥは空腹に襲われていた。
 
「さ、着いたニャ。馬車の掃除するから早く降りるニャ!」タマキが3人を追い出すように下ろす。
 
報酬を貰いに集会所に入ると、他のハンターたちからざわめきが起こった。
 
「おい、あいつらあの赤フルフルを倒したんだってな・・・・!」
 
「でもよ・・・」今度はジンたちが噂の対象になってしまったようだ。

 
ジンはそんなことには構わず、レビィのほうへ向かった。
 
「レビィ、このクエスト、無事成功した。報酬素材と報酬金を頼む。」
 
「それはいいんだけど、ジン。」レビィはジンに小さな声で耳打ちしてきた。
 
「あなたたち3人、村長に呼ばれてるみたい。報酬を受け取ったら早く村長のところへ言ってね。」
 
レビィにもこの3人に村長が何と言うのか分からない様子だ。
 
「わかった。それじゃ報酬は・・・報酬リストを見せてくれないか?」
 
ジンの問いかけにレビィが頷いて、書類を取り出した。
 
「上竜骨3つ、アルビノエキス4つ、魅惑色の柔皮4枚、魅惑色の・・・翼膜2枚・・・翼膜だと?」
 
ジンが驚いたのも無理がない。ジンはそのまま言い続ける。
 
「たしか魅惑色の翼膜は上位の素材だったはずだぞ?このクエストは確かに下位のものだった。」
 
「それが私にも解らないの。参加条件は満たしていたわけだから、下位のはずだったし・・・」
 
レビィもいささか不安そうな面持ちだ。
 
ジンは集会所の入り口の辺りにいるボルカ村村長のほうを見た。



Chapter2-8『処分』に続く
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