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2007.04.14 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.8
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押してくだちい
予告どおり
本日2本目の小説更新します

1本目、今までのを読みたい方は
↑の記事からどうぞ。

書き忘れましたが
昨日、やっとHR6になれました(遅w

そんじゃそんじゃ『続き』で。




『祭、火の村に降った星』


甲殻や翼、仮面のような頭殻を剥ぎ取られたバサルモスは、それとは一見分からないようなみすぼらしい姿になってしまった。
 
回復薬や砥石を使ったため軽かったポーチも、その巨大な甲殻で膨れ上がった。
 
「戻りますか・・・キャンプに。」レオンの言葉に、皆頷くだけだった。
 
エリアを出るとき、ジンはバサルモスの死骸のほうを見た。
 
大きな岩の周りを火の粉が花火のように飛び交っているだけだった。
 
20分ほど歩くと、キャンプにたどり着いた。ここは比較的涼しい。
 
疲れきったジンは、砂利の上に寝転んだ。レイも疲れからか座り込んだ。
 

ジンがふと空を見ると、1羽のタカが西の空から飛んでくるのが見えた。
 
やがてそのタカは4人の上をぐるぐると何度も回り、また西の方へ帰っていった。
 
飛竜生態観測隊のタカだったらしい。2時間もすれば迎えが来るだろう。
 
今は、太陽の位置からすると、1時くらいだろうか。ジンは腹が減ってきたことに気がついた。
 
「疲れた・・・」ジンは目をつぶって言った。誰も相づちを打たなかったが、皆同じ気持ちだった。
 

疲れた・・・涼しい風が、静かに吹いた。火山灰の雲は、いつの間にか隠れて、空は晴れわたっていた。

 
「おめぇら腹減ったんじゃないのか?とにかく俺は腹が減って仕方ないから肉でもとってくる。」
 
「あ、では、僕もご一緒させていただきます。」ゼロにレオンがついていった。
 
ジンも起き上がり、枝を拾ってはキャンプに設けられた焚き火に放り込みだした。
 

10分も経たない内に、ゼロたちがたくさんの肉を持って帰ってきた。アプケロスの肉だろうか。
 
ついでにレオンは、マグマレッドベリーや火山草もたくさん採ってきていた。
 

4人は焚き火を囲み、肉を焼いて食べ始めた。アプケロスの肉は、鳥肉の味に似ている。
 
油ののりも丁度良く、火山に来たハンターはたいていアプケロスの肉を食うことが多い。
 
いつもより少し遅い昼食は、腹がへっている分格別に美味かった。

 
「しかし・・・今日はレオンの独擅場だったな。」ジンが肉を頬張りながら言った。
 
「いぇいぇ、そんなことないですよ。皆さんの長所が生きたからこその勝利です。」
 
レオンに照れた様子はない。しかし嘘を言っている様子も見られなかった。
 
「そういえばレイ、あれは危なかったな。レオンに礼を言えよ。」ジンは今度はレイの方を向いて言った。
 
「いぇいぇお礼だなんて・・・」レオンがすかさずはさんだ。
 
誰よりも早く食べ終わったレイは、眠そうな目をして両手で足を抱えたような格好で寝転んだ。
 
「ん~~~~~~~~・・・・・・」疲れて眠くなると、テンションがとても下がる。そんなところがレイらしい。
 
「そういえば・・・助かったからいいがな、兄貴をぶっ飛ばすなよ!!痛かったぞ・・・!!!」
 
ゼロが思い出したように言った。
 
「ん~・・・・・・・・・・・・」「おぃ!!!聞いてるのか?!」「・・・・・・・・・」レイはもう寝てしまっていた。
 

 
昼食を食べ終わり、少し経つと白毛のナツの馬車が迎えに来た。
 
「お疲れニャ!!よくやったニャ!!早く乗るニャ!!!」と、ナツは来るなり急かした。
 
レイはまだ眠っていたので、起こさないようゼロがおんぶして運んだ。
 
馬車に乗り込むと、行きの時と同じ手綱の音が聞こえてきた。

 
帰りの馬車の中で、レイが目を醒ました。そして馬車の中はとても騒がしくなった。
 


馬車がボルカ村についた頃には、もうすでに日が沈んだ頃だった。
 
しかし、村はとてもにぎやかで、昼間のような活気に満ち溢れていた。
「そうか・・・忘れていたな・・・今夜からボルカ村祭が始まるんだったな。」
 
ボルカ村祭とは、名の通りボルカ村の誕生祭のようなものだ。
毎年、流星群が見られる日の夜に開催される、ボルカ村の名物でもある。
 

にぎやかな屋台道を通り抜け、ジンたちがレオンと別れる分かれ道に来たときだった。
 
そこは、祭とはうってかわって、静寂に包まれていた。
 
「あ、流れ星。」レイが空を指差した。
 
一筋の光がかすかに光り、すぐに消えていった。
 
そう思うと、2つ、3つ・・・何百もの流れ星が輝いた。祭のほうから歓声が聞こえてきた。
 

流星群の向こうには、いて座の星が淡く輝いていた。

 
それから2日後、レオンはまた王国の依頼を達成しに西方へ行った。



Chapter2-1『髑髏剣士と未熟者』に続く
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