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2008.03.20 自作小説『Gunpowder Xmas』 04
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Solfaの更新。
自作小説『Gunpowder Xmas』 04。
【簡易日記】今日は服とか靴とか買いに行くつもりだった。
でも立ち読みしに行ったらなんか雨降ってきたんでやめた。

展開遅いので勘弁。




04 コロシアムの鐘の音



「な・・・っ」

ぎしぎしと坂の下から幾重もの何かが蠢く音が聞こえた後、ごぉんと鐘の音が響いた。

ごぉん、ごぉんと合計三度。

何かの合図だと言うことは解ったが、僕は坂の下を覗いて思わず自分の目を、いや、この世界を疑ってしまった。

何十機、100機近くはあるであろう“それら”は、次々に息を吹き込まれたように立ち上がる。

「う、うああぁ!!」

駆け出した頃には、もう遅かった。

敵は、一度子供の頃に見たことがあった、『ザトウムシ』という蜘蛛に似ていた。

4本足の何メートルもあるザトウムシが奇妙でぎこちない歩き方をしながら、追いかけてくるのだ。

何機も、何機も。


僕一人を標的にしているわけでは勿論ないのだが、少なくとも僕自身、幼き頃のあのザトウムシの奇
妙さを頭に浮かべながらも恐怖でひたすら足を空回りさせて走るだけだった。

だれが開発したか、悪趣味なこの“戦車”、噂どおりどんな地形にも対応しているようだ。

数分前僕の目の前で放射状に発進させられ、崩落したビルの間や坂道を歩き、さらには家を踏み潰して進む。

家だとか、家族の安否がどうでも良い訳ではなかったが、現状での最大の生命の危機にそれを配慮する余裕はなかった。

「ああぁあ・・・」

ひたすら走る。

面倒だとぼやいて取らなかった車やバイクの免許が、今になって愛しく思えた。

あの車に、あのバイクに偶然鍵がついてて、僕がもし免許を持ってたら、それに乗ってあの戦車を引き離せるのに。

そう無駄に思いながら、ただひたすら走る。


足が突然、ふわっと軽くなった。

いや、これは『軽くなって走るのが速くなった』のではなく、『ふわっと地面を蹴り損ねた』のだ。
「うぁっ」

辛うじて受身を取り、平坦な道を転げる。


起き上がった頭上、そこにはあの戦車。

さっきから言葉と言う言葉を発さず、奇声ばかりあげている自分につっこみを入れることを考えた。

一夜限りだった義勇軍の“親友”、家族、好きだった女(ひと)のことを考えた。

最後に食べた、昨夜のコンビニのパンのことを考えた。


―――そうか、死ぬ直前は、こんなにも待つことが永く、そして嫌で、恐怖に満ちていて、どうでもいいことが思い浮かんでくるんだな。


そんな、それこそがどうでもいい思索をかき消す、排気音。そして、聞き覚えのある声。

「おらおらおらおら――――!!」

タクミだ!タクミとその隣には、義勇軍の一員の人がいた。

バイクで並走してこちらへ向かってくる2人。

世が世であれば暴走族にしか見えない彼らは、もしかしたら・・・いや多分、僕を助けに来てくれたんだ。

タクミの隣、たしかサヤマと呼ばれるその男は、ドリフトしながらバイクから飛び降りる。

バイクは地を滑り、そのまま火花を散らしながら戦車の足元へ直撃する。

「ソーイチィ!乗れ!」

タクミが目の前で急旋回し、タイヤの焦げる臭いが鼻を襲った。

袖をつかまれ、強引にタクミのバイクに乗せられる。

「タクミ、俺に任せて、そのあんちゃんを連れて逃げろ!」

「サヤマ、良いのか!?」

「俺を舐めんなよッヒョ――――――!」


サヤマは腰につけた突撃銃――あの『エーケー』という銃に似たものを両手に構えた。

タクミがアクセルを思いっきり回し、ビッグスクーターのようなバイクは一気に加速した。

サヤマの姿はみるみる小さくなり、それでも彼が必死に応戦―――どころか善戦していることがわかった。


「タクミ、本当に大丈夫?」

「あぁ、サヤマは対人は下手だが、戦車はもう10機以上潰してんだよ!」

風の中、僕は変な悪寒を覚えた。

「はは・・・すごいね、サヤマさんは」

「あぁ、俺たちは負けない。だから強い!」

どこかで聴いたことある、タクミが言い放った古臭いキャッチフレーズは、どこか不思議と信頼できた。



サヤマが死ぬまでは。
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