2008.03.16
自作小説『Gunpowder Xmas』 02

押してくだちい
自作小説『Gunpowder Xmas』 02。
書いててたまによくワカランくなるほど、即興で書いてます。
でも大体の流れはあるので多分大丈夫。
書いててたまによくワカランくなるほど、即興で書いてます。
でも大体の流れはあるので多分大丈夫。
02 置手紙
「よう、お前。名前、何ってんだ?」
「え…あ、日下部 宗一って言います。」
「へぇ~っ!ソーイチか。俺はタクミってんだ。タクミ・セイルダード。」
セイルダード?ハーフか、日系なのか?
彼は青い目と赤混じりの髪をしていたが、流暢な日本語はそれを感じさせなかった。
「あの人が、元自衛軍にして義勇軍3番隊リーダー、ミヤギさんだ。」
「タクミさんに、ミヤギさん…ですね。」
「よせやい、オレとお前、そんなに歳離れてないだろう?オレはまだ17だ。タクミでいいぜ!」
年下ということに驚く。それでもよく見れば、灰まみれの頭を振った彼は年齢相応の幼さが残っていた。
「―――あと、タメ語でいいぜ。ウチの決まりなんだ。上下関係はいらねぇ。皆、志を共にした仲間だからな。」
「あ、はい。」
「そこは『おう!』とか『わかった』でいいんだよ、ソーイチ!」
「お、おう!ってか、こんな簡単に義勇軍に入っていいの?」
「皆、今の仲間はミヤギさん以外、お前と同じ『元一般人』なんだよ!」
「………」
複雑だった。
こうして僕は1ヶ月ほど前の『一大学生』から、今や『一義勇軍兵』になってしまった。
銃の扱いどころか、銃なんて触ったことも無い代物だった。
どうせ死ぬ命、抗う本能が義勇軍に入って戦うことを選んだのかもしれない。
複雑だった。
以前より先の見えない未来に、ただ永い夢を見ている気がした。
「お、ソーイチ、いいもん持ってんじゃん。よこせよ!」
「あ…ちょっとその中は…!」
タクミが、唯一の収穫物、コンビニの袋をあさる。
「お、少年ホリデー………あ!エロ本じゃねぇ?コレ!!」
「ちょっ…それは偶然ってか、なんつーか」
「真面目そうなツラして、エロいなぁ!」
タクミの声が崩れかけた建物中に響いたせいか、何人もの義勇軍の連中が集まってくる。
「なんだ?タクミ、良い戦利品でもあったのかよ?」「おいおいおい、いろんなモンあるじゃん!」
連中は口々に騒ぎ立てる。
「へへ。コイツ、この新入りが持ってたんだよ!言っとくけどオレのだからな、このエロ本は!
「コイツ、誰だよ?新入り?」
光を反射するタイプのサングラスをかけた男が僕ではなく、タクミに訊く。
「あぁ。皆仲良くしてやってくれ!今さっき仲間になった、ソーイチだ!」
どう見ても年上の連中に、馴れ馴れしく物怖じもせず、そして媚びることなく話すタクミ。
不思議な友情というか、連帯感みたいなものは確かにあった。
ただ、先程この目で見たはずなのにまだこの連中が『人を殺す』ということが疑問だった。
気づけば、西の空は紅く染まっていた。
長い一日が終わった。
長い眠りから醒めると、やはりそこは昨日と同じ廃墟の中だった。
周りを見渡しても、誰もいない。
タクヤも、ミヤギさんも、義勇軍の気配は全く感じられなかった。
「もう、取り残された・・・?」
何故か異様な空虚感に襲われたが、予想に反し彼らは律儀に置手紙をしていた。
「ソーイチ、今日は探索に行ってくる。起きるの遅いから、置いてくぞ。ここはスクランブルかけてあるから、離れても大丈夫だ。そこらをウロチョロしてもいいべ。くれぐれも死なないようにな タクヤ」
スクランブル?偽装みたいなものだとは思うが、何一つ彼らから専門用語を学んでいない僕には、今だその意味は解らなかった。
「ま、ここに書いてる通りにさせてもらうか。とりあえず家に・・・?」
家。
皆はどうしただろう。
家族は、友人は、皆はいまどうしてるだろう。
忘れていたわけではない。
―――とりあえず家に・・・!
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