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2008.02.11 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.65
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漆黒の大地。漆黒の空。漆黒から黄金(こがね)へと豹変する。

黎明の光は黄金に、雲は波打って黄金に。

ただ、いつまでも黄金に変わらない色。

二つの、青鈍の瞳の色。


というわけでこの小説、今回を除いて残すところ

あと1話!!!!

次回、最終回。

いや、長かった。思えばダラダラと一年近く書いてましたw

最終回にはいつもコメしてない方とかもいたら、コメしてくれれば嬉しいな~~つてねw

というわけで最終章、第12話始まるぜ!!




かつて、たった半日前まではボルカ村と呼ばれた地には、まだ2人の姿があった。

「・・・結局、レビィ。お主、ワシと一緒に置いてけぼりか。」

焚き火の火の粉は空を漂う火山の火の粉に紛れながら空を彩る。

「馬車のネコさんたちには逃げてもらいました。」

「もう、走ってもきっと逃げ切れんぞ?」

噴火の爆音の中、2人はただレンスボロックの火山を見つめる。

「分かってます。私はジンたちの帰りを待ちたいから・・・」

「わしも、まだ狩人を続けていたら、あやつらと共に戦えたのかもな。」

「そういえば、村長ってなんで狩人を・・・」

『もうすぐ死ぬかもしれないから』ではなく、『もうすぐ皆に会えるから』。

ボルカ村の村長と受付嬢レビィは、火山を目前にいつまでも他愛の無い話を続けていた。

その胸にジンたちの勝利と帰還を信じて。



「あと少しだ・・・・あと少し・・・」

目を瞑る。不思議と何も浮かばない。

死を背負ったまま戦うことを選んだジンだったが、仲間や過去が脳裏に浮かぶことは無かった。

ただ、火の中で雄叫びを上げる金獅子が映った。

眼を閉じていても、開いた後にも。





Last Chapter9-12『終わりの風景』






ジンとレオン。そして金獅子。

戦いに黎明が迫っていた。

東の空は赤い朝焼けに雲を、そして血の様に吹き出す溶岩は火山灰を。

世界は、煉獄に染まろうとしていた。

「ジンさん。やっぱりあなたがリーダーで良かった。」

飲み干した回復薬の空きビンをポーチにしまうと、レオンはジンの横に並んだ。

俺も、お前が仲間で良かったよ。と答える前にレオンは再び開口する。

「僕にとっては、あの金獅子ラージャンは昔の仲間の仇です。」

防具を外すレオン。

「レオン・・・なんで、防具を?」

ジンが訊くが、レオンはただ防具を外し続ける。腕、足、そして頭。

「思えば、今まで敵(かたき)を討つためだけにハンターを続けてた気がします。

 でも、とっくに解ってた。

 僕がすべきことはここで敵を討つことですが、ここで死ぬことじゃない。」

ジンはため息一つ。レオンはそれに笑って見せた。

彼の足元に転がる防具は、ほぼ全身の物だった。

彼の体には、つなぎと、インナーと、そして僅かな急所を守る防具の“核”部分しか残っていない。

「当たり前だろ・・・?それは俺も同じだ。

 死んだ仲間のためにも、その遺志を継いで『竜と戦う』のが俺たちのすべきことだ。」

「はは・・・・・だから・・・だから、ジンさんがリーダーで良かった。」

「ん?なんだ?」

レオンは目を閉じ、一瞬、歯を食いしばり厳しい表情を作る。

そして小さく呟く。「皆、待たせた。」

彼にとっての“敵討ち”はただ戦うことであり、ジンにとっても同じだ。

「ジンさん、さっき訊いたこと、まだ答えてなかったですよね。

 防具を外した理由・・・もう、防具は必要ありません。この盾と槍に全てを懸けます。」

「一撃でも食らえば死ぬかもしれないぞ?」

「はは・・・」

「笑い事じゃないだろ!命を無駄にしないんじゃなかったのか!?早く防具を・・・」

ジンは足元の防具を拾い上げ、レオンに手渡そうとする

「無駄にはしません。これが僕の戦いです。」

「・・・・・」



長い会話―――その猶予をくれた金獅子。

レオンはその“仇”との距離をつめる。

彼の背中は寸分の無駄も無く締まった筋肉が躍動し、両腕にはベルトで括りつけられた銃槍が揺れる。

「レオン・・・」

後を追うジン。追いつくと、ふたりの息はぴったりと重なった。

「おぉおぉぉおぉお!!」

失速することなく斬り込むふたり。対し爆発する雷。

ジンは避け、ソゥは盾で防ぐ。

放射状に広がる煌きがふたりの視界を奪うが、それを苦にもせず斬る、斬る、斬る。


「ガアァ・・・!!」

創痍はジンたち、金獅子共にひどく、それでもただ斬り続けるだけだった。

土が舞い上がり、ジンの目の前が一瞬にして開ける。

金獅子はまだ余力を残し、跳ぶ。

「はァ・・・はァ・・・まだ・・・まだだ・・・」

ジンの太刀は、二度と使えないほどに刃こぼれし、そしてべとりと血に塗られている。

着地と同時に血を噴出させる金獅子の腕。

ジンは初めての確かな手ごたえにふと笑みを漏らす。

「ガアァアアァアァァ・・・!!」

再び、この火山にあってはならない不協和音が世界を揺るがす。同時に流動を繰り返す地盤。

轟音に両手で耳を塞ぐジン。どう抗おうとも本能的反射的に動いた両手を、ジンは恨む。

そしてジンを襲う禍々しき雷。

様々な色を集めるように金獅子の口が輝く。

「ジ・・・・ンさん・・・・!!」

びりびりと腕が震えるが、レオンは渾身の力をそれに込める。


3年前ジンと出会う前、仲間が死んだのはこの雷球の直撃をうけたからだ。

ただ、そのとき金獅子はまだ黒かった。

今、ジンがこの金の雷球を食らえば――――



「あぁあぁあああぁぁ!!」

右手を振るう。ベルトを解き、腕を捻転。

疾風の如く飛んだガンランスの盾。

雷の塊を受け、ジンの鼻先で一瞬にして消滅する。

「レオ・・・・」ジンはレオンのほうを見る。

にっこりと、いつも通りの微笑みを作ってみせるレオン。

「うおぉおぉ・・・」

最後に彼は左手の銃槍を投擲する。

金獅子の片目に深く突き刺さった。 

「・・ン・・・・・・・レオン・・・」

紫電雷光の中、ジンは耐え切れず目を瞑った。


目を開き、そこに無い友の姿を探す。戦いを無視し、ジンは必死で探す。

きょろきょろとそこら中を何周もするジンの視線がやっと捉えた、レオンの姿。

何メートルも向こうで、満身に切創を受け、倒れる友。

「レオン・・・」




それから何分くらい経っただろうか。

朝日は赤く、そして眩しい。

ジンは独り、まだそこに立っていた。

金獅子の前に。



「ま・・・・・・・だ・・だ・・・・・もう少・・・・し」

銀火竜の防具は殆どが欠け落ち、肩や腕には深い傷から溢れ出す血。

朦朧とするジンの意識には、金獅子しか無かった。

「まだ・・・」

大地に引きずった太刀からはとっくに覇気も冷気も無く、刃は紙すら斬れそうにも無いほどに砕けている。

「まだ・・・」

それでも腕を振り上げるジン。

「まだ・・・」

格段に速度の遅くなった両者。

「まだ・・・もう少しなんだ・・・・・」



「ガアアァァアァ!!!」

「・・・・・・・ッ!」

ジンの体は、勢いよく土に叩きつけられた。

右腕の感覚が痺れ、無い。脳は揺れる。



それでも、何かを想起する様に口ずさみ続けるジン。

「まだだ・・・」



Last Chapter9-13『ジン』 に続く
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