2008.02.07
MH小説『炎の山の狩人たち』vol.64

押してくだちい
最近出会い系的な業者のコメが方々で見かけられるよね。
あのクソ暇人どもが。出会いなんてそんなにねぇンだよ・・・
あ、小説です。
なんか登下校両方で天気雨(雪・みぞれ)だった。
痛いし寒いしで腹が痛い一日だった。
いてぇ~~~ふふふふふ
あのクソ暇人どもが。出会いなんてそんなにねぇンだよ・・・
あ、小説です。
なんか登下校両方で天気雨(雪・みぞれ)だった。
痛いし寒いしで腹が痛い一日だった。
いてぇ~~~ふふふふふ
Last Chapter9-11『涙と徒花』
ジンの涙が土を濡らしてはすぐに消えた。
ソゥが生きていたという束の間の喜びと、常にその紙一重に在る死への恐怖。
死の対象がソゥになるか、自分になるか、または全世界の人間になるか。
只一つ確定の事項がある。
金獅子は待ってはくれない。戦いは、待ってはくれない。
ジンは二刀を両手に構えたことがなかった。
初めての感覚。両手で支える物の重さ。
「ソゥ・・・悪いがこれは、いざという時のために、な。」
そう言うとジンはソゥから預かった太刀-ソゥの命-を背に担ぐ。
いつも通りの両手構え、そして中段、正中線を鉛直に居直す。
力んでいたのは事実で、ジンの拳は軽く固まっていた。痛みが電気になり腕を伝う。
それもいつしか止んでいた。
戦闘はまだ、終幕すら見せようとしていなかった。
紅いマグマの中、照った金色と黒の体毛は戦いを飽食しきったような奇妙な輝きを増していた。
誰が見ても金獅子の巨大で煌びやかな姿は神々しく、他の全てを凌駕した存在だと解る。
そして誰もが震え上がるのだった。
勝ち目のない戦いの前に、武器を持つ手すら震えてしまうのだった。
戦況は次第に優劣のつけ難いものに変化していた。
「・・・・・・・・・ッ!!」
綺羅を磨いた番いを振るうゴースト。
環を作るように描いた軌跡は幾つもの羽を散ばせるように空気を凍らせ、そして麻痺を誘(いざな)い、その数だけの斬撃を与えていく。
「らああァあアァぁ―――!!」
鉄槌を打つのはゼロ。
一撃一撃が地を揺るがし、爆砕の如く金獅子もろとも至るところを砕く。
そして穿つのはレオン。
斬撃が、弾丸が、その延長にあるものを貫いては焼き尽くす。
最後に大きく跳躍、鋼と氷の太刀を振りかざしたのはジン。
「待たせた。」
思わず歓声を上げようとしたジンの仲間たち。
しかしジンの姿は消え、金獅子も消える。
数十センチの間合いが数十メートルの間合いとも言えぬ間合いに変わる。
焦げ臭い大地が瞬時にして裂け、数秒後には再び雷に焼かれる。
それぞれがそれぞれの持つ間合いを保ちながらも傷つけあっていた。
突如両腕を空に掲げた金獅子ラージャンは、それで熱気を斬って見せた。
風が起こると同時に、金色の塊が3つ、ジンたちを襲った。
「来るぞ!!」
言った頃にはもう遅い、しかし、指示の前に動けば話は別だ。
勿論指示がすべて出ないのは当たり前で、狩人たちは個々の判断で動けなければ狩人ではない。
レオンはガード、ゼロは跳躍、真正面のゴーストも難なく避ける。
と、思われたがそうではなかった。金の雷球はただの囮、その後ろから迫ったのは金獅子そのものの巨体。
飄々と風が吹くように。
ゴーストは舞う。今日まで2度の災厄を生き残った狩人が舞う。
軽やかに金獅子の肩を両足で踏むと、空中で一回転、ニ回転。見事に着地。
ゴーストは空を自らのものにして見せた。
振り向いたゴーストの右腕に構えていた麻痺の双剣、『スレイプニル=ガデス』の傍らが無い。
それに気づき、ゼロがゴーストに訊く。
双剣は・・・質問を全て言い終わる前、つまり問う前に答えは見つかった。
金獅子の肩だ。ゴーストが踏み台にした場所に、その傍らは深く突き刺さっている。
そう、あの跳躍の瞬間、剣を踏み、金獅子に突き刺していたのだ。
「うおおぉ・・・」
思わず歓声を上げる一同。唸りを上げる金獅子。
素早く最後の剣を構えたゴーストはすでに金獅子に斬りかかっていた。
まるで子どもの喧嘩のような、剣と爪との叩(はた)き合い。
デスギア装備の肩に取り付けられた何かの頭骨は吹き飛び、フードが破れ、額には血が浮かぶ。
対して金獅子の爪も次第に欠けてゆき、毛はそがれてゆく。
「ゴーストさん、本当に『ロード・オブ・ハンター』じゃないんですか?」
レオンがジンに訊いた。
「アレを見る限りじゃ、俺もそう思う。ギルドカードには書いてないが、もしかしたらとっくにロード・オブ・ハンターなのかもな。」
「達人の戦いをこんなにも近くで見れるとは、ってヤツですね。」
関心とは裏腹に、ジン、レオン、ゼロの表情は厳しくなっていく。
「そうは言ってられないようだぞ・・・。」
3人の立っていた場所の土がはじけた。
がしゃん。痛々しい音はゴーストの腕から鳴った。
実際に痛みがあるわけではないが、この悲劇が戦いにどれだけの痛手をもたらすだろう。
ゴーストの、生身の腕を遥かに凌駕した金属の左腕は、無残にも折れる。
剣を強く握ったままちぎれ、そのまま黒い土に落ちた。
それがゴーストを一気に追い込んだのか、彼は“初めて”咆哮を上げた。
「おぉおおぉぉぉォぉオぉ!!!」
誰よりも力強く、誰よりも響いた声。
片腕でも、ゴーストは戦い続ける。
「退(ひ)け、ゴースト!!」
割って入ろうとしたジンの防具に切創が走ったのに気づき、彼は足を止める。
金獅子の両腕を避け、巧く逆手に持ち直した剣を敵の顔へと突き立てようとするゴースト。
そこにひとつの隕石が落ちる。
金色の光は隕石かどうかはわからない。しかし、ゴーストの動きが止まる。
咳一つ、そして彼は倒れる。
焦げる防具。先程までの強靭さは失われていた。
「ゴオォォストオォォ・・・!!」
倒れる際、ゴースト――アレクサンドル・ガルダは自分の名を呼ぶ仲間の声を聴く。
答えることは叶わなかった。
「はァー・・・はァー・・・」
ソゥの時よりも強烈な、仲間の力が尽きる瞬間。
一瞬にして起こったそれに向き合う勇気はあっても、寒気は背筋を襲い続ける。
心臓に剣を立てられたように息苦しく、熱さと冷たさが全身を強張らせた。
「でもな、ラージャン・・・俺らは・・・・」
ゼロがハンマーの柄をぎりぎりと拳で締め付ける。
「てめぇを倒すまで死ぬわけにはいかねぇ―――――!!」
ゼロ、ジンが左右から襲う。
死角を取るでもなく、純粋に、単純に剣と槌を振り下ろす。
中空を裂く、それ以上に迅(はや)い腕。
「ぐあぁ・・・っ!」
ジンが飛ぶ。金獅子はさらに空中でそれを追う。
「まだだ!!」
叫んだのはやはりゼロ。
空に浮いた金獅子の足に向かってハンマーをかます。
ゼロの思惑通りに行けばジンを助け、尚金獅子に一撃を打ち込むはずだった。
地上は遠い。ジンはその空で叩きのめされ、壁に思い切り叩きつけられる。
「・・・・・・っ!!あああぁ!!」
ゼロが声を上げた。
雄々しいその声はゴーストの声に似ていた。
「が・・・」
金獅子の全体重に重力が加わりゼロに圧し掛かる。
めきめきと肋骨がなり、ゼロは意識を失った。
風が生暖かく流れる。残されたのはジンとレオン。
「まだだ・・・」
風が再び流れたが、今度は燃えるような熱風だった。
Last Chapter9-12『終わりの風景』に続く。
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