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2008.02.02 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.63
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押してくだちい
小説館作ったけど、パソコン開くとやることいっぱいあってコピーできん・・・

名言「俺は貴様らサルのように・・・単純では無いンDAAAAAAAAAAAAAA!!!」
どないやねん

というわけで始まりました、新訳『Elfmanワールド』。

お客様は旅客機です。

では小説、始めましょう。

※今回、かなりよくわからない内容です。




Last Chapter9-10『絶対勝つからな。』




禍々しさを細かな粒子に変え、帯電した塊となったそれは金色に輝きながらソゥの体を突き抜けた。

「ソオォオォ――ウゥ!!」

がらがらと岩が崩れ、ソゥもろとも崖下へと姿を消した。

溘焉(こうえん)としてそれは起こった。

何の前触れも無く、ただジンは気づけば項垂(うなだ)れていた。



ソゥはジンたちの中では一番遅くにハンターになった。だからこそ一番の成長をみせた。

自分より強い周囲の足を引っ張り、引けをとることを嫌ったソゥは、たった3年ですでにジンの信頼すら得ていたのだ。

憧れが生んだ、純粋な力だった。

ソゥというハンターが、ハンターとして尽力することを望んだ、純粋な願望だった。


―――“純粋な願望”。

金獅子にとっては微塵の意味も持たない、それでいて人にとっては最も美しい、最後に行き着く“心”。




金獅子はすぐさま、今度はレオン、ゴースト、ゼロと正対する。

完全に戦意喪失したジンは、金獅子には石ころと同等だった。視界にすら映らなかった。

意識は混濁、その中で激昂する狩人の血。

ジンは“仲間”を失ったことが無かった。だからこそ、手が震えた。

「ソゥ・・・・ソゥ・・・」

このままでは自らを含め他の仲間もやられる。

そう解っていながらも、それに反する意識ははっきりと心中に生きていた。




機能しないリーダー・ジンの代わりはいなかった。

ゴースト、レオン、ゼロそれぞれが鎬を削っていたためだ。

彼らもジン同様、仲間を失った。

只、今のジンとは違うこと―――悲しみに明け暮れるか、戦うかという選択において、戦うことを選んだこと。

ゴーストが真正面、それを夾補するように立つレオンとゼロ。

3人は踏み入れる。金獅子の間合いを侵す。

双剣を地と水平に構え、完全な攻防の姿勢をとったゴーストは、それを左右に開くと同時に前転する。

ゼロとレオン、それどころか金獅子の視界からも消える“幽霊”。

彼が立ち上がった場所は、再び金獅子の目前だった。

初撃をかわされると確信していたゴーストは前転、避けた金獅子に再度接近したのだ。

立ち上がると同時に左腕が振り上げられ、巨大な剣のように振り下ろされる。

それは金獅子の顔半分ほどを切り裂き、同時に折れる。

金獅子の両腕に掴まれる事なく、懐に入ったゴーストはいつの間にか背負っていた2対目の剣を抜いている。

首下で剣を天に交差させ、満身を刃へと化す。

乱舞。

今までの生ぬるい一撃を超え、全てが金獅子の胸と首を切り裂く。


ここまで、10秒に満たない。その中にも裏のかきあい・戦いの駆け引きがあった。


ばっ、と突然、布を擦ったような音がした。

と同時に開けるゴーストの視界。上空から降るのは金獅子の巨躯。

「ゴーストさん!!」「ゴォストォ!!」

響く声と、骨が砕かれるような音。

ゴーストは風のように一瞬にしてゼロとレオンの間に戻る。

乱舞の途中だった。それでも、たとえ力を乱舞に集中察せようとも、ゴーストは奇異な攻撃をかわした。

「髑髏の面が・・・・」

レオンが呟く。ゼロも驚く。この2人は初めて彼の姿を見たのだ。驚くのも当然だった。

金獅子は自分の足元に砕け散った面を見る。

顔を上げたときはもう遅かった。


ゴーストは白磁の肌が触れるほどに接近し、両手で円を何週も描く。

「ガアアァァアァ・・・!!!」

悲鳴をあげる金獅子。王の毛は凍り、全身は痺れ、今度は逆にひざまずかされていた。

―――そして、ゴースト。

仲間に合図する彼は、とっくに怒りを全身に纏っていた。





「ジンさん」

彼の声がジンを呼んでいた。

狩人としての仲間であり、弟子であり、いつしか弟のような存在となっていたソゥ。

ボルカ村の皆が家族であるように、ジンはソゥをいつのまにか家族として考えていた。

「ソゥ・・・」

『あきらめるな』。師としてソゥに言ってきたことは、今、自分が最も言われたい言葉になっていた。

「俺は、最後までお前の足を引っ張っていたよ・・・最後まで、師匠らしくなかったな・・・」

膝をつき、肩を項垂れた彼の瞳から、頬を伝う涙。

それでも手に強く握られた太刀は、刃こぼれを忘れたように輝き続ける。


「ジンさん」

再び呼ばれた。否、ジンは何度も呼ばれていたのだ。

「ソゥ!!」

微かだがはっきりと聞こえた声に向かって、無意識に、そして誰よりも速く走るジン。

その足が止まった場所は、やはりソゥが落ちた崖だった。

崖――というよりは火口。

噴出したマグマが土の灰燼に空洞を作り、視力が効くところまで深く掘られていた。

その中心には、地の底を示すように波打つマグマ。

その情景はまさに煉獄、ソゥが落ちたという予想を自ら逃避したくなるジン。


「ジンさん・・・」

はっきりと聴こえた。ソゥはまだ死んでいない!

「ソゥ!!」

「あ・・・ジンさん、俺は死んでませんよ~・・・」

姿は見えないものの、彼の声はジンにはっきりと届いていた。

「ソゥ!大丈夫か!?」

「崖に段差があって、運良くそこに・・・でも・・・・運悪く右足と・・・イテテ」

身の安全を伝えた声は疲弊と苦痛に弱々しかった。

「今助けるからな!!」

たしか、と呟き、ジンはポーチに手を突っ込む。中には束ねた綱。

しか意外にも、弟子は師匠を拒んだ。

「ジンさん、俺はもういいです。今は戦いに専念してください。」

「え・・・?」

うっ、とうめく声が火口に共鳴する。

カシャン。金属がジンの横に投げられた。それは、ソゥの太刀。

「おい・・・何言ってんだ。なんだ、これ?」

「それ、使って下さい。ジンさん。いや、師匠。」

「馬鹿言うな、今から・・・」

「ジンさん!!」

言葉をより強い言葉で制される。

「俺、ジンさんの弟子で良かったッすよ。」

突然。突然の、ソゥの遺言。素直にジンが聞こうとするはずがない。

「俺、最初はハンターになって、ただ格好つけてやろうと思ってたけど・・・

 なんつーかジンさんの弟子になれて・・・上手く言えないけど・・・後悔とかそういうの無いですよ。

 そんで・・・」

「黙れ!!」

「すいません・・・。でも、ジンさん、俺を助ける暇があったら、世界を救ってくださいよ。」

「お前・・・・・・・・俺に説教する気かよ・・・・」

再び項垂れるジン。うつむいた眼に映ったのはソゥの太刀。ジンの太刀。


「誰かが死ぬかもしれない。それは覚悟してきたでしょ。俺は死にました。」

「ソゥ・・・」

「畜生、俺、最後まで足引っ張って、弟子失格ですね。」

ジンの独り言と同じ言葉。

「ジンさん、行って下さい。」

「・・・・・・・・・・・ソゥ」

「・・・・・・行け!!ジンさん!!ゴーストさんたちも殺す気ッすか!?

 あ、すいません。師匠にこんな口のきき方して、本当に弟子失格だな・・・俺。」



「ソゥ、馬鹿野郎。この戦いに勝ったら、絶対に助けに来るからな。絶対勝つからな。」


返答は来なかった。



左手でソゥの太刀を引き寄せる。

震える手を押さえつけ、太刀を握る。

1対の太刀に紫電が走ったときには、ジンの涙は乾いていた。


「ソゥ。お前が弟子失格なら、俺は師匠失格だ。ハンター、失格だよ。」



「絶対勝つからな。」



Last Chapter9-11『涙と徒花』 に続く
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