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2008.01.28 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.62
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押してくだちい
やばいやばい
進路関係のモノをチト調べてまとめなきゃいけない。
大変すぎる。
もう適当に書くか。地雷処理班かモンゴイカのトリマーがいいよなー

うぽ♪

という小説

※小説の内容には関係ございません

クズ小説を宜しく




傲慢。

その言葉は決して美しくはないだろう。

しかし、生きることそのものが傲慢だというのなら、傲慢にも生きようとする命は汚れているだろうか。

傲慢にまで、生きる価値は無いのだろうか。

「傲慢だ」と神の逆鱗に触れれば、人々に生きる権利は無くなってしまうのだろうか。



Last Chapter9-9『禁忌満ちた顎門』




ジンの眼に映ったのは黒から金に変化した物体だった。

色の変化と共に、力が変化し、それは動いてもいないのに速さまで変化したように思えた。

その瞬間、ジンを襲ったものは金の爪ではなく、地から足に絡みつく慟哭だった。

「・・・・・・・・」

次元の違い。それは最初からあったものだというのに、さらに差は開き、明瞭なものとなった。

「綺麗な金色ッすね。」

ソゥはどこかの夕日でも見たかのような言葉を発する。が、ジンにはソゥを叱ることすら不可能だった。

しっかりと握られた太刀を落とすことはない。彼の体が既に硬直しきっていたからだ。

その横をソゥが、赤きフルフルの流動するような滑らかな防具を揺らしながら通る。

「俺でも、倒せますかね。」

冗談めいた言葉は、自分の力量だとか、相手の大きさだとかを計算できない素人がいう“大口”だった。

「ねぇ、ジンさん。俺でも、倒せるかな・・・」

ジンの震える手は前に進もうとするソゥを必死に制しようとするが、動いたのは焦点を定めようとしない眼だけだった。

ジンの顔を見て、いつもの調子で笑うソゥ。

死ぬのが怖くないのか?ジンはいつのまにか、死に対する恐怖に慟哭する自分と彼を比較していた。


「・・・・・ふっ、ふっ、ふぅっ」

独特の呼吸で息を整えるソゥ。その歩調は次第に速くなり、

「お、らああぁあぁあ!!」

――ソゥはジンをも凌ぐ持ち前の俊足で一気に距離を詰める。

金獅子が動かずして腕を振るえばソゥを捕えることの出来る間合いに届いたときだった。

この時やっと、ソゥは抜刀する。そしてソゥに一気に追いついた者が2人。

ゴーストとレオンの姿がソゥと並ぶ。

ジンは先程まで自分の斜め後ろで傷を癒していたゴースト、隣にいたはずのレオンが走っていたことにやっと気づく。

3人は自然に、相談も無いまま片腕ずつと足を相手にし、電撃を纏ったままのそれに対等の戦いを見せる。

「ひゃあっはぁ!!」

太刀を使う上での矯正を無視して鍛えた左腕、それに対し軸となった右腕は、全体重を乗せた一閃も的確に振ってみせた。

斬撃は浅いが、それは蚊が刺す感覚から毒を持たぬ蜂に刺されるというものに変わっていたのかもしれない。

金獅子は苦しみからかそこら中至る所に雷を落とし、

しかし力は健在、斬り込むソゥらの防具にも金獅子の爪が残痕を作る。



火山が突如轟いた。火を噴き、黒い煙を吐きながら、流れ出した溶けた岩はジンの横でも紅い川になった。

両手では対応できたとしても、足までは、レオンの突きを掃うことは出来るはずがない。

レオンが突如攻撃を止めたことを素直に喜んだのだろう。

金獅子は両手の攻撃を強め、ソゥとゴーストを圧倒していく。

レオンは当然ながら、攻撃を止めてはいない。

ただ“突く”のを止めただけであって、その指はガンランスのトリガーに掛けられていた。

無言のまま、引き金は引かれる。

爆音。耳を塞ぎたくなるような音の波に、皆が一瞬止まる。

金獅子も同様に、だ。

それどころか金獅子の右足は爆ぜた果実のように皮がはじけ、血が噴出しているのだ。

自分の足に何が起こったのか、数秒だが金獅子は理解できなかったらしく、その動きも完全に静止していた。


それを狩人が見逃すはずが無い。

渾身の力を太刀に込めたソゥは自らの正中線に沿うようにそれを振り下ろした。

金獅子の腕と足には強度に違いがあるらしく、当然ながらソゥの一撃とガンランスの龍撃砲にも威力に大差があった。

ジンの二の舞、ソゥも堅い剛毛と皮と筋肉の層に阻まれる。

「くっ・・・・・。・・・!」

ソゥは膂力を強めつつも、顔では驚く。

「ゴーストさ・・・」

指の一関節分ほどもある峰の上からゴーストが双剣を叩き込む。

ぎりぎり、という眼を瞑りたくなるような音の後、勝ったのはソゥとゴースト。

皮下の厚い筋肉をも切り裂いた斬撃は途中で限界に達し止まったが、ゴーストはそれを蹴り上げるとソゥと顔を見合わせた。

その真横で憤怒に似た悲鳴をあげる金獅子。

「さすが」

ソゥが言ったその言葉を皮切りに、ジンとゼロは無意識のまま駆け出す。

臆していた心はいつの間にか晴れていた。

ジンは弟子だったはずのソゥに勇気づけられたのだ。

「今だ!!止まるな、畳み掛けろ!!」

覇気を取り戻したリーダー・ジンの声にソゥやレオン、ゼロは勿論のこと、ゴーストまでが仮面の下で喜んでいるようだった。

怯む金獅子に5人の刃が襲う。

なんとゴーストは金獅子の腹の下に入り、乱舞を続けているほどだ。

それを真似てソゥも脇腹に太刀を浴びせる。

堅い腕に守られている場所は比較的柔らかい、という単純な思想に基づいた攻撃は、意外にも的中した。



「・・・・・・・・・っ!!!」

刃の的になっていたはずの金獅子が王の猛威を取り戻すのも、ジンたちの希望に反しあまりにも早かった。

ドン!!隕石か、もしくは重力がそのまま何乗倍にもされたような衝撃がジンの体を襲う。

「ぐはぁぁあぁ!!」

宙に舞い、強く叩きつけられる。脳が揺れ、全身が枝のようにみしみしと鳴る。

月の色をした雷(いかずち)がジン、レオン、ゼロの全身に走った。

「あ・・・・が・・・・・・」

麻痺に似た激痛に立ち上がることは不可能。

彼らは金獅子-王-にひれ伏したように動かない。

そんな中、2人、突然の雷を避けた者がいた。


ゴースト、そしてソゥだ。


「に・・・げろ」

ジンは声にならない声を喉から絞る。それはソゥには届いていない。ゴーストにも。

「くそがぁああぁあぁ!」

叫ぶソゥの太刀はやはり未熟。一瞬にしてその軌道は乱れ、ソゥは冷や汗を額いっぱいに浮かべている。

ゴーストが空気を、風を感じて避けようとする。ソゥを連れて避ける間は無かった。



閃光。太刀が放つ紫電に似ていた。

金獅子の周りに六角形を作り、流星群の如く降り続ける稲妻。

ゴーストは一度の跳躍で回避に成功するも、追い討ちに体を地面へと打ちつけられる。

ソゥは僅かに動いただけの金獅子の肘に押され、軽々と尻餅をつく。

やはり圧倒的だった。

金色の獣はこの戦いにおいて、初めて“本当の口”を開いた。

扇状に放たれた“それ”。



ジンの視界に映るのはそれの直撃を受け、投げられるように飛ぶソゥの姿。

「ソゥ――――!!」

やっと出た叫びは虚しく、ソゥの影はがけ下へ見えなくなった。




Last Chapter9-10『絶対勝つからな。』に続く
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