2008.01.12
MH小説『炎の山の狩人たち』vol.59

押してくだちい
楽園とは、神の在らんところの名。
黒き闇の煉獄は鳴神によって支配された。
そう、この場こそが今、楽園となったのだ。
もうお昼か・・・
小説です。読んでくださいよろしければ。
最近なんかゲームやろうと思うんですがオススメありますかね?
では続きから。
黒き闇の煉獄は鳴神によって支配された。
そう、この場こそが今、楽園となったのだ。
もうお昼か・・・
小説です。読んでくださいよろしければ。
最近なんかゲームやろうと思うんですがオススメありますかね?
では続きから。
Last Chapter9-6『神は最凶』
ジンが身に着けたシルバーソルと呼ばれる防具は高性能だった。
いまだその輝きを失うことのない銀火竜の甲殻を纏った全身は、見た目の刺々しさの中に銀の王を宿らせていた。
伝説の銀火竜を倒したものは、その防具を身に着けることで万物の急所を見抜く眼力と、それを適格に斬る能力を手にするという。
「伝説の防具でも、流石に火山の暑さだけは防げないな。」
ジンは頭に付けられたバイザーを上げ、汗をふき取る。
弱音に似た文句に対し、答えたのはゼロだった。
「そりゃ、火竜は暑い所にはあんまり出てこないからじゃねェか?」
彼は素のままの赤と黒を基調とした防具、モノブロスの甲殻に身を包む。
これもまた至高の防具であり、ハンマーを振るうものにはこの防具が持つ『膂力を飛躍上昇させる』能力は魅力的だった。
小細工は、ハンマーには無用だ。それがゼロの出した答えだった。
「あ・・・・っ」
ソゥが何かを見つける。と、同時に起こる束の間の静寂。
敵だ。
大きい。
金獅子という名を持つ割にその毛並みは黒い。
こちらを待ち構えていたかのように、ひとつ鳴いた。
耳を塞ぐほどではない。しかしその声はジンたちの耳にはっきりと残った。
「火山が・・・鳴いてるみたいだな」
続いて落ちる雷。
激しい眩い光が落ちると同時に、暗転。
ジンは目を開ける。気絶から醒めたように、意識ははっきりしてはいたものの視界は混濁していた。
音は無かった。気配も無かった。
目の前には、金色のものが立っていた。
「・・・・・・・・・・・」
全員、動くことが出来ない。しかし、金獅子も動こうとはしない。溢れ出す覇気が、そう感じさせていた。
ジンは、敵がここまで近づいて、刃を交わす距離になってやっと気がついた。
敵は、金獅子はあまりにも巨大だった。
あくまで彼の目測に過ぎないが、ジンが以前見たゼロの討伐記録に記された数字とは桁が違う。
震える指。火山の熱の中でいつの間にか冷え切っていた。
口にはすで血の味が広がっていた。ジンは血が出るほどにした唇を噛み締めていた。
流れ続ける脂汗を蹴り、ジンはゆっくりとその指を柄に掛ける。
「ヒュッ」
息を噴出す。それと同時に放たれる一閃。
この一撃が当たるか、それともかわされるか。それがジンにとっての最大の懸けであり、命運を決する一撃だと思っていた。
しかし
見事空を切った太刀は、そのまま深く土を割った。
震える。一気に恐怖と不安がジンやソゥを襲う。
ソゥやゼロ、ましてやジンですら視認出来ないほどのジンの一太刀は、それ以上のスピードを以って避けられたのだ。
「神・・・か・・・・・」
ラージャン。金獅子と呼ばれ、王と呼ばれる存在。
目の前の敵は、そのさらに遥か上をいっている。
言わば、神だ。
そう、まさしく神だった。
絶対的な存在。あらゆる万物の上に立った、ただひとつの存在。
震えが止まらない。それが当たり前だった。
雷鳴のように飛んだそれは、先程立っていた場所に戻っていたのだ。
「こ・・・」
こんなの、倒せるかよ。ソゥはそう言おうとしていた。声すら出ない。
もう一度、咆哮。今度は先程とは比にならぬ大きさだ。
それは雷を呼び寄せた。金獅子を囲うように落雷、そして一直線にジンたちを襲う。
「来るぞ!!!」
全員が同時に飛ぶ。足元は消失、わずかにでも遅れれば、彼らが消滅していただろう。
「うおおぉおぉぉ!!」
着地を反動にし、そのまま走る。
ジンの全体重をかけた太刀は金獅子の腕に食い込む。
手ごたえはある。しかし、出血は無い。
銀火竜の魂を纏い心眼を得たジンの太刀ですら、“神”に太刀を浴びせることは出来ない。
金獅子は腕を振る。ただ、腕に止まった蚊を振り払うように。
そして腕に止まった蚊は、数十メートルを飛ばされる。
「ぐあぁっ!!」
「ジン!!」「ジンさん!」
「く、来るな!!大丈夫だ・・・お前らも気をつけろ・・・」
辛うじて後ろに飛んでいたおかげで衝撃を緩和し、ジンの怪我は無かった。
ジンから目を離し、金獅子を見やる3人。同時に武器を出す。
ゼロはハンマーを、ゴーストは双剣を。
そしてジンと同じ太刀を、正面に構えたのはソゥ。
敵、金獅子と正対してから20分。
4人は刃を露わにし、戦いはやっと始まったようだった。
Last Chaoter9-7『帰還する救世主』
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