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2007.11.14 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.52
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押してくだちい
皆、待たせたね。

遅ぇ?まぁまぁ、落ち着こう。

待ってない?まぁまぁ、落ち着こう。

というわけで小説をやっとこさ書いたよ。

読んでください。でも今回は書いててあんまり面白くなかったし

実際10日も書かないと腕が落ちたような・・・

ご勘弁をFC2 Blog Rankingヒヒ




流動体のように空に渦を作った雲が、ゆっくりと潮流を起こしている。

先程まで降っていた、炎王龍に簡単に消されてしまう雨は自ら街を去り、

そしてその雨を空へ返す炎王龍の焔も、雨が姿を消すとともに消えてしまった。




Chapter8-6『白土の上で・・・』



ジンと出会う前から、ゴーストは数多の“戦場”に生きてきたのであろう。

それはジンにも、共に狩猟をこなすことで容易に解った。

しかし、北方出身故であろうその白磁のような顔には大きな傷どころか微瑕さえも見られず、

鋭い目は揺らぐ事無く炎王龍に対してまるで蛇を狙う鷹のような目を光らせていた。

その目もまた、銀か白い灰か雪を積もらせたような色をしており、

表情は男なことは確かだが女のように凛と真っ直ぐだった。


ゴーストは何も喋らない。喋れないのではない。

ジンは出会ったときからそれが解ったが、問うことはしなかった。

ジンは心のどこかで常に“独り”であったし、ゴーストにはそれと同じものを感じ取れたためだ。

独りであることで周りのものを傷つけたくない、死なせたくないという小さな願望が、

ジンの視界にゴーストという“仲間”を作ったのだ。

だから、ジンはいつもゴーストの考えが“解った”。


「ジンさん!!」

ソゥの声が震えつつも大きく響き、ジンは目の焦点をふと合わせる。

ジンはそれまで確実にゴーストに見入っており、ゴーストが炎王龍の動きを止めていなければジンはそのまま死んでいただろう。

やはりジンの目に映ったのはゴーストだったが、すぐさまその視線をソゥへと移す。

「ジンさん!鷹・・・ちゃんと・・・・へっ!!?・・・・ゴ・・・・・」

ソゥは炎王龍のほうに万全の警戒心を溢れさせていたが、ゴーストを見た瞬間ジンと同じようにそちらへ気をとられた。

「よくやった、ソゥ。お前は危ないから・・・・」

「―――ゴーストさん・・仮面を・・・・」

ソゥはジンの言葉を遮り、と言うよりジンの言葉が耳に入っていないように呟いた。


「うっ・・・!!」

それも束の間、炎王龍の咆哮は再び白い土の上に広がった。

同時に爆発するように全身の甲殻を発火させた炎王龍。

ゴーストは飛ぶように後ろへ避け、かろうじてそれを免れる。

触れる地面を溶解する程の超高温を放ちながら、それでも炎王龍は威厳と落ち着きを取り戻すように唸りを上げる。


ゴーストはまた炎王龍へと剣を向ける。と同時に足は土に跡をつけていた。

ジンもインペリアルソードを、ソゥは太刀『ホワイトマンティス』を構え、吹き抜ける風の中を駆けた。


それに呼応する、もしくはそれを待ち構えていたかのように、火打石を打ち合わせたような音が響いた。

途端、ジンたちの周りを囲っていた火の粉が炎王龍に向かって集まりだす。

起爆装置のスイッチは、炎王龍の鋭き牙にあった。

主に纏われた火の粉は次々と爆発しジンたちを襲ったが、悲鳴が聴こえることは無かった。

煙が晴れ、3人は同時に“煉獄の主の空間”を侵すべく飛び掛る。

勢いに全体重を乗せた剣は焔を裂き甲殻とぶつかって火花を散らすが、それはすぐに火炎に変わっていく。

ジンたちは炎王龍に餌を与えているようだった。

剣と甲殻がかち合えば火花が散り、それは炎王龍が司る火炎へと豹変して皆を襲う。

しかし、ジンとゴースト、そしてソゥはその手を止めることに是非をも問わなかった。

斬り続けるしかない、ただその一身を刀に、剣に込めた。


しかしそれも長く続くはずが無い。

怯んでいたはずの炎王龍は、太刀がはじかれ一瞬の陰りを見せたソゥを見逃してはいなかった。

ソゥは前足に払われ、ジンと同じように飛ばされた。

背を強打したのか、近づく炎王龍にも反応することなく唸りを上げる。

「ソゥ!!」

ジンとゴーストは炎王龍の後ろ足や尻尾を斬り続けるが、それに反応しないのは当然、だった。

炎王龍は今、確実にソゥにその牙をかけて殺そうとしていたのだ。

「うぅ~・・・・・・・ん・・ひいぃいぃぃ!!」

ソゥは腰を抜かしたように足を引きずって後ずさりするが、それも甲斐無く炎王龍との距離は狭まってゆく。

その時ソゥの指に何かが触れた。

浮岳龍と、そして今ジンたちが対峙している炎王龍と戦い、無残に散った狩人たちの姿だった。

「・・・・ひ・・・・・・・・・・・」

ソゥの喉からはもう、言葉の一つも搾り出すことは出来なかった。

ソゥの手にホワイトマンティスは無い。


「ソゥ!!逃げろ・・・・!」

ソゥはジンを見た。しかし、ジンの指示に反しソゥは首を横に振る。それも、大きく。

「うおぉおぉおおぉおぉおぉぉ!!」

ソゥは狩人の亡骸が強く握っていた太刀を取る。

それは満月を描くように、そして紅い残影を残しながら振られる。

刃毀れの激しかったそれは炎王龍の歯に命中するが、命を落とした狩人のように強い音を上げて折れる。

「・・・・・・・っ!!」

ソゥは目をつぶった。自分の死に直面したから、ではない。

目の前に落ちた黒き滅龍の雷に目が眩んだのだ。

そしてその雷に打たれた炎王龍も怯んで2、3歩退く。

ソゥが握っていた一振りは、『龍刀【朧火】』。

刀身の真ん中あたりから折れてはいるが、その威厳は消えぬ温かみの中に健在だった。

「ソゥ・・・!!馬鹿!早く逃げろ!!」

ソゥが気づいたころにはもう遅い。炎王龍の腕が鼻先まで迫っていた。



火の粉は散った。

しかしソゥの黒血が散ることなど無かった。

曇り空を真っ直ぐに裂いたのは、刀のような紫電を放つ矢だった。

ソゥを襲った腕を、血を肉を骨を貫き、地面に深く突き刺さる。

腕から噴出す鮮血を見ること数秒、炎王龍はようやく狂気の悲鳴を漏らす。

「はぁッ・・・・はぁッ・・・はぁッ・・・・ソゥ、うろちょろしないでよ!!あとちょっとであんたを貫くとこだったよ!」

レイはすでに肩で息をしていた。

あの1本の矢に全精力を使ったのだ。

「ジン・・・!もう腕が震えてソゥのサポートは出来ないから・・後頼んだよ~!!」

そう言うとその場にへたり込む様に俯くレイ。



「任せろ!!ソゥ、立て。」

ジンは白土に中ほどまで刺さった矢を見、静かな笑みを浮かべ叫んだ。



Chaoter8-7『敵討ちの槍』

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