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2007.10.27 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.50
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押してくだちい
ニコ動見ながらレポート打ちながら音楽聴きながら
小説書きました!

お待たせしました!!(ホントニナ

そういえば今回でちょうど50話ですか?

長かった>_つ<)50話か~

5月くらいかな最初は・・よくワカランけど、長いな~いろんな意味で。

なんど挫折しそうになったか。

そんな感じで小説!!

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Chapter8-4『煉獄の帝王』



炎王龍テオ・テスカトル。

火の粉を纏い、剛堅とした甲殻は常に超高温を保っている。

糸のような雨がジンたちの体を突き抜けるように落ちる。

しかしその雨も炎王龍には触れることも叶わず、蒸発して霧になる様は、

これまで戦いに命を失くしたハンターたち、そしてジンたちを反映しているようだった。


上位クラスに入って、ジンは様々なモンスターを相手にした。

ドスファンゴに始まり、この炎王龍に対峙する1週間前には飛竜リオレウスをも討伐した。

ジン自身、ハンターを始めた頃に還ったようで懐かしくもあり、何より楽しかったのだ。

その高揚も、炎王龍が煉獄から持ち出した爆炎に消し去られた。



レイは弓の弦を引きながら距離をとり、炎王龍の纏う“攻撃”をかわした。

とは言ってもその矢が炎王龍にダメージを与えられる範囲にはすでに炎王龍の毒手を孕んだ空気が漂っており、

下位で作ることが出来るガンナー用装備ではとうてい太刀打ちできるものではなかった。

一方ソゥはと言えば、背に太刀を収めたまま逃げ回るばかリだった。

ゴーストを相手にしているはずの炎王龍が自分に少しでも近づくと、安全な距離まで走る。

それを繰り返すことしか出来なかったのだ。

ジンは気を失ったのか、割れた城壁を背にして首をもたげたままでいる。


ゴーストは違った。

両手には確かに双剣を握っている。

炎王龍が放つ火球を、尖鋭な爪を、獲物に飛びつく獅子のような突進を。

ゴーストは適格に、華麗に避ける。

まるで炎王龍の挙動を全て知っているように。


ジンが気絶から醒めた時、最初に目に入ったのはやはりゴーストの姿だった。

髑髏の仮面は無表情で、それでも無機質な感覚は無かった。

ただでさえ体の痛みでかすむ目に、視界の悪い霧雨。その中で、ジンにはゴーストの姿がはっきりと見えた。

「ゴースト・・・・」

炎王龍が本来容易に焼き尽くすことが出来るであろう範囲に肉迫したままのゴースト。

その体に炎王龍の腕が伸びるが、それに沿うように前転する。

地面は巨大な爪痕とともに砂塵を舞い上げたが、ゴーストには傷ひとつ無い。



“流れに逆らわない”もの。



例えるなら流水に伴って回る水車。

しかし、水車とは決定的に違うものがあった。

ゴーストは相手の攻撃の流れに逆らわずに身を任せながら、その流れをも自分のものにしていた。

どんな激流をも自分の流れに変えてしまう、空間を司る物。

ゴーストが体をひねりながら炎王龍の突進を避けると、炎王龍の腕や体側に切創が走る。

ゴーストが跳躍して炎王龍の火球を避けると、炎王龍の顔面から鮮血が噴出す。

ジンはその姿に見入っていた。

まるで闘技場で戦う勇士を見ている観客のように。


ジンははっとして自分の腕を見た。

そこには構えたつもりの無い太刀があった。紫電が煌く。

「ふふっ・・・俺も・・・、負けてられないな。」

ジンは立ち上がろうとする。その時、少なからずジンの戦意を失くさせる痛み。

「うっ・・・・!」

ジンは自らの体がどうなっているか、瞬時に悟った。

肋骨が数本、折れているのだ。自分の呼吸が妙な高鳴りに変わったのも、ジンは気がついた。

いくら上位の防具だとしても、本来ハンターランク7、つまり最高位クラスに匹敵する炎王龍の火球の前には紙同然だった。

「これで、倒すまで持てばいいけどな・・・!!」

回復薬を飲むと多少抑えられた痛みにジンは安堵し、そして気合を入れなおす。

『インペリアルソード』などと大仰な名前の付けられた太刀がジンの体を動かした。


走る。

炎王龍の下へ、否、ゴーストの下へ。


同時に疲弊から一瞬の油断をするゴースト。

死角から跳躍し“獲物”を狩ろうとする炎王龍。

ゴーストは振り向くが、身を翻して突進を避けるまでには至らなかった。

しかし、ゴーストの視界が大きく飛ぶように揺れた。

そのまま白土の上を滑る彼の横には、彼の友の姿。

「ゴースト、大丈夫か?」

ジンの言葉を受け、ゴーストは初めて頷いた。

ジンは驚きながらも、すぐに炎王龍のほうを見る。が、炎王龍はすでに彼らに向かって疾駆していた。


すかさずゴーストはジンを真横から蹴り飛ばし自分も逆側へ横跳びに回避する。

「げほッ・・・げほッ・・・・あんまり強く蹴るなよ。あばらが何本か折れてるんだ。」

ジンは先ほど火球で飛ばされたときに作ったのであろう、額の傷から流れる血を手の甲で拭う。

「それにしても、お前が頷いたなんて、皆が聞けば驚くだろうな。」

ゴーストは照れたのか――といってもこれはジンの冗談めいた考えだが――今度は反応は無かった。



ゴーストは光を寄せ付けることの無い刀身を、ジンは銛利な白き刀身を、同時に掲げる。

矜持に似た心がジンとゴーストの中には確かにあった。

途方も無く、遥か届かぬ上に、確かに居る古龍を目前にして。



Chapter8-5『ペルソナ』

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