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2007.09.13 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.44
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押してくだちい
ぶりんせす!!Elfmanですたい

今日、実習が外であった。まだ8月じゃないのか?あの暑さは。
日本も自慢の四季が消滅してしまうのも時間の問題だと感じた次第ですよ。
あー暑かった。

小説、やっとこさ書いたよ。
なんか長いのか普通くらいなのか解らんけど、今回結構手間取った・・・
あーつらし。
時間があまり無いので、TOP記事はいじれません。ごみんにゴミニスタ。

なんか、めっちゃハマったものがあったんだけど、紹介しようと思ったのに忘れたあ。ヒデェ・・

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慈悲を・・・



Chapter7-3『安楽と悲愴のダーク』



頭に被ったギザミ装備の隙間から、月明かりが差し込んできた。

月が高くなるにつれて先程より冷え込んできたようだ。

風が通り去り、砂漠に波が起こる。

砂竜ガレオスももう眠った頃、そこでは狩人と悪魔が戦っていた。

「おぉおおオォぉおォ!」

雄叫びを伴って、ジンの腕が縦に振られる。血飛沫。

その余韻を残したまま、ジンは手首を返し垂直に切り裂く。

白猿薙【ドド】。

そう呼ばれる太刀の振りにより、血飛沫は刹那のうちに凍りついてゆく。


弱い。


ジンの脳裏にそんな言葉が流れた。

そんな時、黒角竜の背後、空の彼方に飛竜観測所の気球が見えた。

ちかちかと小さな光が幾度と無く光る。

アレに審査でもされてるのか? そう思うと、ジンの腕が焦りからか鈍った。

空を切って砂を裂いた刃の重さが腕に響いた。

一瞬の油断だった。

角飾りで勇ましく飾られたような大きな顔が、幾度も血を吸い続けてきたような紅い目が近づいてくる。

全身への痛みとともに、3回転したジンの体は軟らかい砂に埋まった。

「ジン!」「ジンさん」

ジンには口々に叫ばれる、自分を心配する声が遠く聞こえてきた。

小さな唸り声を発し、半分以上埋まった体をあおむけにする。

ポーチから回復薬を取り出しながら黒角竜を見たが、すでにジンには目もくれていなかった。

ジンは少し呆れた様な気がした。どうでもいいのか、どうでもよくないのか。

自分には黒角竜の心は解らない。まず、黒角竜にそんな感情があるのかすらも解らない。

頭を兜からすっぽ抜く。砂がさらさらとこぼれ出てきた。

「大丈夫だ!」

砂に真っ直ぐに突き刺さった太刀を抜き、ジンは黒角竜の下腹部に斬りかかった。


レオンはまだ、黒角竜の顔面に張り付くようにねばっている。

サイドステップ、バックステップ、突きを兼ねた前進。

様々な動きを見せつつ、レオンは華麗に黒角竜と攻防を繰り広げていた。

素人目には動かずに戦う様に思われがちなランス・ガンランスは、腕が立つものほど良く動く。

といっても、それは四方を動き回って敵を翻弄する、という意味ではない。

敵の攻撃をかわせられる最小限の範囲で、自分が確実に攻撃できる動きを繰り出すのだ。

そのため、ランスを扱う達人級ハンターの狩猟を観ると、ほとんど場所を変えずに竜を倒してしまう。

それがつまらない武器という第一印象を与えてしまうのだが、レオンの戦い方はやはり楽しそうだった。

八の字に首下を斬り、振り回しながら砲撃する。

そのまま反動で半歩下がった位置を生かし、袈裟斬り宜しく黒角竜の首から右肩へと切り裂く。

十秒にも満たないこの間、レオンは呼吸を乱すことなく攻撃を続けた。

レオンは倒れるように銃槍をしまうと、突進しようとする黒角竜の股下を通り抜けた。

それと入れ替わるように、黒角竜を追うジンとドロシー。

ジンは引き続いて下腹部から足あたりを斬りつける。

ドロシーはぐるぐると体を回転させ、何度も黒く巻いた角に打撃を加える。

「ホァ―――――ムランッ!!!!」

ふざけた様に、ドロシーとレイがタイミングよく声を上げる。

それと同時に明後日の方向に振り上げられたように見えたドロシーの槌が、黒角竜の角を叩き砕く。

悲痛に怯み声を吐く黒角竜。

しかし、狩人と竜が相対すれば、そこに情け容赦は存在しない。

ジンは溜めに溜めた力を全て吐き出すように、身を翻して太刀を振り上げる。

それは厚い甲殻さえない柔らかく無防備な黒角竜の腹を、心臓まで貫く。

そのままがしゃりと音を立たせ太刀を逆手に持ち直し、捻る様に引き抜いた。


先程まで平静を汚された怒りから血走っていた目の色が抜けていく。


黒い塊と化した体が、砂の中に柔らかく倒れた。

「あっけないな。」

ジンは刀身に付いた血糊を振り落とし、兜を外しながら黒角竜の目を覗き込む。

澄んでいた。

「ジン君。ジン君、なんか怖いよ・・・・。」

ジンはその言葉に、はっと後ろを向く。そこにはドロシーが立っていた。

「ディアブロスが?」ジンは無表情のまま答える。

「ううん・・ジンく・・・」


ドロシーが言いかけた時だった。

ジンたちの背後から放たれる咆哮。

声も出なかった。気づけば、ジンたちは自分の鼓膜を守ろうと耳を塞いでいた。

その者を中心に、砂が波紋を作って揺れる。

それに伴って砂埃が舞い上がり、黒い夜天を濁して埋め尽くした。

そしてその中で黒く融け込んだ角竜の巨躯が突然砂埃をわって現れる。

「わぁ・・・・・っ!!」

角でかち上げるように首を振り、それと共にレイとドロシーが宙に飛ばされる。

ジンは頭に響く余韻に歯を食いしばって、2人のところに駆け寄る。

咳を漏らし、うなり声を上げながら2人は立ち上がる。

ジンはそれを見ると安堵の表情を浮かべたが、それも束の間、厳しい顔に戻った。

「ちっ・・・・・・間が悪いな。2頭目が来たか・・・・・」

ジンは目を細めて晴れていく砂埃の先を見る。


大きい。

最初の黒角竜がまるで子どもの角竜だったかのような錯覚を起こさせる。

狂犬のように喉を鳴らし、ジンたちを真っ直ぐに見つめている。

憤怒にも脅迫にも、そして悲愴にも取れるその瞳。


びりびりと空気が震えた。


Chapter7-4『砂漠のクレバス』
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