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2007.08.03 MH小説『炎の山の狩人たち』vol.32
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押してくだちい
ハロ~やふ~Elfmanです
小説をやっとこさの思いで書きました。
読みたい方がもしこの世界におられるとしたら、よんでくださいな♪

そんじゃ手短だけど続きからヨロッス

ちなみに大師琢磨さん!
絵は明日載せます!待たせてしまってスミマセン




Chapter5-3『異質な気配』


「甲殻種の気配がする・・・鼓動とか・・・独特な・・・・・」

「甲殻種!?・・・カニ?ダイミョウとか・・・かな?」

「あぁ、でもダイミョウやショウグンは雪山には生息してない。」

ジンもどこか不安、というか状況を把握できないようだ。

「とりあえず、どこに居るんだよ?そこに行ってみないとわかんねぇだろ。」

ゼロの言葉に、ジンは気を取り直す。

「あぁ、これは“巣”のあたりだ。もう一度洞窟まで下山しよう。」



―――“巣”。

ハンターたちはこのフィールドをよくそう呼ぶ。

巨木が倒れ、草木は凍りつき、氷柱がそびえ、岩さえも凍るような冷気立ち込める場所。

そしてドドブランゴに代表される多くのモンスターの“巣”となっているこのフィールド。

洞窟状になっているが、天井には大きな穴が開き、そこから雪山の王は出入りする。

そして勿論、『雪山の王』は常に代わっていく。

時にはハンターに討伐されて、また時には縄張り争いに敗れて・・・

ジンたちはこのフィールドに入った瞬間、その惨劇の跡に驚愕した。

「な・・・んだっ・・・これ・・」

ジンは現実にあるものを見ているような気がしなかった。ジンは思った。

今まで討伐してきたモンスターたちの命が、こんなにチープなものだったのか。

こんなに軽々しく失われるものなのか。


いまだかつてない惨状と、それを容易に作ったのであろう、“新たな”敵にジンは震えた。

それが恐怖から来るものか、武者震いなのかはジンにも解らず、なぜか歯がゆさに襲われた。



そこにあったものは、ドドブランゴの死骸。

それも、2、3頭なんてものではない。

それは、ドドブランゴの亡骸とは思えないほど、形状を保ってはいなかった。

引き裂かれた純白の毛皮、砕かれた骨、原形をとどめない血肉。

そして、錆びたような臭いが鼻に付く血の海。


「これは・・・」

ゼロが何か言おうとしたとき、レイがそれを代弁するように声を震わせた。

「これ・・・ドドブランゴにやられたんじゃないよね・・・・・第一、傷のでき方が違う。」

レイの分析力、洞察力はレオンを除けば他のメンバーをはるかに上回る。

レイが弓を村長に習ったこともあり、また後衛にまわるため状況を把握することが多いためだろう。

「あぁ・・でもハンターでも無い、人間ではないようだな。」

ジンは凍りついた地面に落ちた、まだ乾かぬ血に指で触れる。

「斬撃?みたいな感じだよね・・・やっぱさっきの、“蟹”?」

「でもよ!甲殻種が雪山にいるなんて・・・聞いたことねぇぞ!?なぁ!?」

もっともだった。レイも首を横に振る。

「あぁ、俺もだ。ゴースト、何か知らないか?お前なら知ってるんじゃないのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

相変わらずの無言だった。しかし、それに反しゴーストは足を動かす。

髑髏の面はあいかわらず何を考えているのか分からないが、ゴーストは義手の左手でドドブランゴの傷をなぞる。

そしてその無垢に輝く指は、砕かれた骨への上を通り過ぎ、凍った顔のところで止まった。

「ん!?凍ってるのか・・。不思議だな・・・・雪獅子が凍りつくってのはあんのか?ジン。」

「うん・・・確かに見たことは無いな。とりあえずさっきの甲殻種のとこ・・・」


ジンが振り向こうと足を動かした時だった。

轟音と伴って足場が崩れる。

ジンたちは必死に体勢を持ち直そうとする。

その揺れが止まったとき、地面を突き破りドドブランゴの巨大な頭が姿を現す。

「ちょっ・・・なんなのこれ!?」

それはドドブランゴの頭部よりひと回りもふた回りも大きく、そして目には光がない。


大きく尖鋭な牙、特徴的な頭。しかしそれは骨。

ドドブランゴの頭骨だった。


ジンはその全体に目を通す。

よく見るとその頭骨の下にはエビの尻尾のようなものがあった。


突然だった。

発せられた骨がきしむような音が脳に直接響くためか、ジンたちは顔を歪める。

その時。

速すぎて分からなかった。

何か得体の知れない“それ”の背中で何がどうなったのか。


ブッシュウウウウゥウウゥゥ!!!


大きく開けられたドドブランゴの口から水が噴き出る。

扇状に放たれたその水は高圧に、ゴーストはかろうじて避けたものの他の3人は吹き飛ばされる。


「げほっ・・げほっ・・」

各々、咳をしたり目をしばたかせたりしているが、大したダメージではなかったようだ。

「皆、大丈夫・・っとおぉ!!」

ジンには似合わない声が漏れた。

振り向いた“それ”の左腕、いや左足がジンに向かって伸びる。

右足を軸にして体をひねることでその反動を利用し、大きく宙返りすることでジンは避ける。

苔の生えた巨大な流木を思わせる、淡い緑の鋏。否、どちらかといえば槌に近いものだろう。

その緑の槌は苦もなく地面を砕く。

ジンの足は氷に取られ滑る。


その刹那。

「・・‥・・・うっ!」

バシャ、と音を立て土に赤いものが落ちる。

「ジ、ジン!?」

ジンの左腕、そして額に作られた切創から黒い血が流れ落ちる。

ジンはその目で目の前の“それ”を確かめる。

“それ”の右腕は短いが刀か鎌のように鋭く、そして鈍さをもって光る。

そして先ほどの左腕。



そこには左右非対称の腕、いや2種類の武器を持つ“敵”が立っていた。



Chapter5-4『その名は氷蟹』につづく
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